重い急性副鼻腔炎と、
くりかえす慢性副鼻腔炎
いわゆる蓄膿症のことを医学的に「副鼻腔炎」といいます。
慢性化すると仕事や学校などの日常に影響しつづけるため、年代を問わず悩む方が多い病気です。
当院では、慢性副鼻腔炎の治療の選択肢として、日帰り手術を行っています。
副鼻腔炎の症状、特徴
- 頭が重い
- 鼻が詰まる
- 匂いがしない
- 変な臭いがする
- 頬が痛い
- 痰が絡む
症状がひどい場合は、普通の鼻炎ではなく「急性副鼻腔炎」が考えられます。鼻腔と隣接する空間(副鼻腔)で炎症が生じている状態です。炎症の程度は様々で、自然に軽快していくものから、緊急手術になる場合もあります。いずれにせよ適切な治療と治療期間を設けないと、多くの場合ぶり返していきます。
「急性副鼻腔炎」を年単位で繰り返すと、副鼻腔の粘膜自体がポリープのように腫れ、強烈な鼻詰まりだけでなく、匂いそのものが全くしなくなる「慢性副鼻腔炎」へと移行していきます。仕事や日常生活にも大きな支障が出てくるため、近年、副鼻腔手術を行う人も増えています。
原因となるもの
鼻の中はなんとなく狭いイメージがあると思いますが、実際には薄い骨が何層にも重なりながら小さな空間をいくつも形成しています。空間にはそれぞれ空気や液体が出入りする通り道(排泄路)が存在するのですが、生まれつき骨の曲がりが強い方はそこが詰まりやすく、炎症が長引くことがあります。
また中々治らない鼻炎をお持ちの方は、常に鼻の粘膜が腫れていることで同様のことを繰り返しやすくなります。他の原因としては、カビ(!)が生えていたり、歯や喘息が関連するものであったりと様々です。
治療法
内服が基本ですが、急性副鼻腔炎の場合は抗菌薬の選択と、物理的に膿混じりの鼻水を吸引除去していく処置が重要です。点滴が必要なほど重症な場合や、また極めて重篤で失明や脳炎の可能性がある場合は入院が必要なため専門施設へ紹介いたします。
慢性副鼻腔炎の場合は、3ヶ月程度の内服を継続し、それでも改善しない場合に手術の適応となります。カビや歯が原因の場合は、基本的には手術が第一選択となりますが、他施設との連携も必要となってきます。
難治性といわれる「好酸球性副鼻腔炎」(指定難病306)
鼻の中に鼻茸と呼ばれるポリープが繰り返しできる、難治性の慢性副鼻腔炎の一種です。当院では手術と生物学的製剤を組み合わせた治療を行っていきます。
手術の適応について
薬物療法でも十分に改善しない方、副鼻腔炎を繰り返す方は、手術の適応となります。したがって慢性副鼻腔炎自体が、手術が適応される可能性があります。
他にも、好酸球性副鼻腔炎、真菌性副鼻腔炎、歯性上顎洞炎などは、最初から薬物療法での効果が期待できないことが予測されますので、少し早い段階で手術の提案をさせていただくことがあります。